2010年01月14日

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銀座の地主になった泣き笑いの一幕8

その岡さんから、立ち退きの通告が来たのです。
都合ができたから土地を明け渡すように、と。
「寝耳に水」「血も涙もないやり方」と頭の中が白くなります。

私は、芝の白金に住んでいた地主さんに
直接話をしようと出かけていきましたが、
「そういうことは差配にまかせてある」
と言って会ってくれません。
屋敷の扉はピタリと閉じられ、まるで石のよう。

それでも、毎日出かけていっては空しく帰る。
何日そうしたでしょう。
ある朝、屋敷から二十二、三の美しい娘さんが出てきました。
玄関先の花いけに、朝方、摘んだ花を生けている姿が、
とても素敵でした。
地主さんのお嬢さんに間違いないと思うと、
目が吸い付いたように離れません。


銀座 壹番館 渡辺実

(15:04)

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