銀座の地主になった泣き笑いの一幕9
私に気づいて「そこで何をしているのですか」
と言葉をかけてきたのです。私は事の次第を話しました。
お嬢さんは、私の困り果てた状況を察してくださり、
「それなら明日の朝、十時にまたいらっしゃい。
父に会えるようにいたしますから」
と約束し、建物の中に入っていかれたの。
翌日、私は約束より一時間前の九時に、
お屋敷の前に行って待っていました。
十時、約束どおり、お嬢さんは現れ、
私を中に案内してくれました。
地主さんが外出用の身支度を済ませ、
奥から出てくると、お嬢さんはすばやく私を手招きをします。
銀座 壹番館 渡辺実
(15:06)